このおとぎばなしは、ヌルいですが全て微エロ表現の一編です。
(・・・儂の、負け)
彼は、心の中で溜息をつくと、かるがると先生を抱き上げて、
泣きながら眠ると、翌朝、瞼が腫れてしまうぞ、
などと、どうでもよい小言を並べながら、ベッドに先生を降ろして、
7日ほど前のように、綿飴のような口づけを交わすと、
先生が思いがけず素直に、
「寂しゅう、ございました」
と、情を籠めて彼の名を続け、まるで誘うような様子を見せたので、
彼の理性は、もはや限界であった。
「おおむね、儂が悪いが・・・眠らなかったそなたも、悪いのだぞ」
そのまま、焦れるほどに衣擦れの音をゆっくりとたてて、
ほっそりとした先生に覆いかぶさると、
噛み付きたいほどの凶暴を抑えて幾度も唇を絡めた。
はじめから、彼には分かっていた。
自制心が確かなうちに、先生を眠らせてしまわねばならないことを。
だのに、先生は全く無防備で、分かっていなかった。
否、賢い先生は、分かっていないふりをしたのかも知れない。
先生は、熱に浮かされながらもどこか冴えた頭の片隅で、
いままで彼を誤解していたことを知った。
彼はいつでも、先生の體を気遣って、無理をしたことがない。
経験に由来する余裕からか、体格の違いを考えてか
それとも、彼自身の年齢から来る、慾望の減退なのか、
このどれが理由か、ほかに別な理由があるのか、推し量れなかった。
たとえば、彼だけを許したばかりの、秘めやかな器官に、
抵抗を感じはじめると、先生が悲鳴を噛み殺す前に、
もう無理押しはせずに、ほんの少し真似事を教えるだけで、
”こういうことは、急ぐものではない・・・追い追い、慣れてこよう”
と、そのまま抱き竦めて、腕の中の先生を、
触れ合う膚の全てで愛でるようにして、
なめらかな脚に、ごつごつとした脚を絡めて、
睫を震わせる先生を傍らにして、満足そうに笑んでいた。
唯唯、傷つけたくない、怖がらせたくない、
これほど単純でしかも、情愛と自制に満ちた理由が、
ぼやく歳ほどには枯れていない、まだ男盛りの肉体を御していたことに、
迂闊にも、いま初めて気付いた。
「孔明・・・怖くなったら、そう言いなさい」
絶え間なく、湿った音を、體のあちこちに聞かされ、
教えられてしまった弱い其処かしこを、口髭に擽られながら、
先生がまだ知らなかった彼が、ここに居た。
其の歳ほどに枯れてなど、居ない。
過去にも現在にも、比較の対象など持たずとも、
いま體に、そう聞かされている。
憧れの大きな掌は、荒ぶるように余すところなく膚を這い、
貌には、驟雨のように、貪るような口づけが降ってくる。
彼しか知らない體の奥へは、頑丈な骨格の中指が、
ふやけてしまうのではないかと思うほどに伸び続け、
人工的な湿潤を、幾度も溢れるばかりに与えられ、
脚までもが蕩けそうなほどに、こわばりを忘れさせていた。
「儂は、己を見誤っておった」
彼は、髪も息も乱しながら、爛爛とした眸で
先生を見おろすと、
「もう、一日たりとも、そなたなしでは居られない」
折れようかというほどに、抱き締めた。
「もう待てぬ・・・構わぬか」
二人だけの暗黙の了解の言葉を囁いて、先生が微かに頷くのを確かめながら、
彼は、つとめて緩やかに、體の結び目を探して、
先生が眉を顰めようとする前に、いつものように抑制を忘れない。
このまま、七日七晩、こうしていたい と、
ようやく冗談をまじえた彼に、
「・・・お抱きください・・・七日七晩」
加湿器が回っているのに、もう掠れた聲で先生が
涙目で、絶え絶えに、うっとりと囁くのを聞いて、
彼は箍が、外れてしまうような、眩暈を感じた。
「莫迦を申せ、毎日など、身がもたぬくせをして」
揶揄する余裕の欠片を辛くも残して、
内心では、どれだけ煽れば気が済むのか、
煽った結果がどうなるのか、お子様なこの天才は分かっているのか
と、盛大に溜息をついている。
其の、彼の内心の溜息を知りもせず、
「・・・ならば、どうか今宵、七日分を」
こうして真似事を交わしているだけで、言葉も途切れ途切れに、
乱れた黒髪のなかですらも、品位を損ないもしない白い貌を間近に見て、
斯様なことまで囁かれて、誰が平静を装っていられようか。
「ああ、許せ、辛抱ならぬ」
俄かに、體の奥に、めりめりと詰め込まれるような、
抗い難い重さと鈍痛を与えられて、悲鳴を上げる先生に、
「もっと、息を吐きなさい。脚を」
少しでも痛みを和らげさせようと、
呼吸を意識させて、爪先をぎゅっと丸めて縮めた怯える両の踵を
背に預けさせてしまうと、彼は更に烈しく、ずるりと膝を進め、
彼に助けを求めて、その彼に苦痛を訴えて啜り泣く先生に、
「此処に、此処に居るぞ・・・引っ掻いてしまえ、儂を」
傷つけたくないというのに、この白く眩しい存在の全てに渇している。
この矛盾と背徳の代償が、僅か十指の爪痕では、刑が軽すぎると
分かっていながら、彼は、一縷の理性に、そう言わせた。
なじみのないベッドのスプリングを、ぎしりぎしりと鳴かせ続けて、
耽溺する彼を、恍惚と涙で暈やけた視界で捉え、
先生は、禁忌と引き換えの甘美に揺さぶられて喘ぎながら、
言われるがままに、彼の厚い背に縋り、
彼の名を呼んで泣き乱れることしかできなかった。
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全く動じない心身ともに大人のお姉さまのみご覧ください。
(飛ばしても続きに差し支えありません)
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彼は、心の中で溜息をつくと、かるがると先生を抱き上げて、
泣きながら眠ると、翌朝、瞼が腫れてしまうぞ、
などと、どうでもよい小言を並べながら、ベッドに先生を降ろして、
7日ほど前のように、綿飴のような口づけを交わすと、
先生が思いがけず素直に、
「寂しゅう、ございました」
と、情を籠めて彼の名を続け、まるで誘うような様子を見せたので、
彼の理性は、もはや限界であった。
「おおむね、儂が悪いが・・・眠らなかったそなたも、悪いのだぞ」
そのまま、焦れるほどに衣擦れの音をゆっくりとたてて、
ほっそりとした先生に覆いかぶさると、
噛み付きたいほどの凶暴を抑えて幾度も唇を絡めた。
はじめから、彼には分かっていた。
自制心が確かなうちに、先生を眠らせてしまわねばならないことを。
だのに、先生は全く無防備で、分かっていなかった。
否、賢い先生は、分かっていないふりをしたのかも知れない。
先生は、熱に浮かされながらもどこか冴えた頭の片隅で、
いままで彼を誤解していたことを知った。
彼はいつでも、先生の體を気遣って、無理をしたことがない。
経験に由来する余裕からか、体格の違いを考えてか
それとも、彼自身の年齢から来る、慾望の減退なのか、
このどれが理由か、ほかに別な理由があるのか、推し量れなかった。
たとえば、彼だけを許したばかりの、秘めやかな器官に、
抵抗を感じはじめると、先生が悲鳴を噛み殺す前に、
もう無理押しはせずに、ほんの少し真似事を教えるだけで、
”こういうことは、急ぐものではない・・・追い追い、慣れてこよう”
と、そのまま抱き竦めて、腕の中の先生を、
触れ合う膚の全てで愛でるようにして、
なめらかな脚に、ごつごつとした脚を絡めて、
睫を震わせる先生を傍らにして、満足そうに笑んでいた。
唯唯、傷つけたくない、怖がらせたくない、
これほど単純でしかも、情愛と自制に満ちた理由が、
ぼやく歳ほどには枯れていない、まだ男盛りの肉体を御していたことに、
迂闊にも、いま初めて気付いた。
「孔明・・・怖くなったら、そう言いなさい」
絶え間なく、湿った音を、體のあちこちに聞かされ、
教えられてしまった弱い其処かしこを、口髭に擽られながら、
先生がまだ知らなかった彼が、ここに居た。
其の歳ほどに枯れてなど、居ない。
過去にも現在にも、比較の対象など持たずとも、
いま體に、そう聞かされている。
憧れの大きな掌は、荒ぶるように余すところなく膚を這い、
貌には、驟雨のように、貪るような口づけが降ってくる。
彼しか知らない體の奥へは、頑丈な骨格の中指が、
ふやけてしまうのではないかと思うほどに伸び続け、
人工的な湿潤を、幾度も溢れるばかりに与えられ、
脚までもが蕩けそうなほどに、こわばりを忘れさせていた。
「儂は、己を見誤っておった」
彼は、髪も息も乱しながら、爛爛とした眸で
先生を見おろすと、
「もう、一日たりとも、そなたなしでは居られない」
折れようかというほどに、抱き締めた。
「もう待てぬ・・・構わぬか」
二人だけの暗黙の了解の言葉を囁いて、先生が微かに頷くのを確かめながら、
彼は、つとめて緩やかに、體の結び目を探して、
先生が眉を顰めようとする前に、いつものように抑制を忘れない。
このまま、七日七晩、こうしていたい と、
ようやく冗談をまじえた彼に、
「・・・お抱きください・・・七日七晩」
加湿器が回っているのに、もう掠れた聲で先生が
涙目で、絶え絶えに、うっとりと囁くのを聞いて、
彼は箍が、外れてしまうような、眩暈を感じた。
「莫迦を申せ、毎日など、身がもたぬくせをして」
揶揄する余裕の欠片を辛くも残して、
内心では、どれだけ煽れば気が済むのか、
煽った結果がどうなるのか、お子様なこの天才は分かっているのか
と、盛大に溜息をついている。
其の、彼の内心の溜息を知りもせず、
「・・・ならば、どうか今宵、七日分を」
こうして真似事を交わしているだけで、言葉も途切れ途切れに、
乱れた黒髪のなかですらも、品位を損ないもしない白い貌を間近に見て、
斯様なことまで囁かれて、誰が平静を装っていられようか。
「ああ、許せ、辛抱ならぬ」
俄かに、體の奥に、めりめりと詰め込まれるような、
抗い難い重さと鈍痛を与えられて、悲鳴を上げる先生に、
「もっと、息を吐きなさい。脚を」
少しでも痛みを和らげさせようと、
呼吸を意識させて、爪先をぎゅっと丸めて縮めた怯える両の踵を
背に預けさせてしまうと、彼は更に烈しく、ずるりと膝を進め、
彼に助けを求めて、その彼に苦痛を訴えて啜り泣く先生に、
「此処に、此処に居るぞ・・・引っ掻いてしまえ、儂を」
傷つけたくないというのに、この白く眩しい存在の全てに渇している。
この矛盾と背徳の代償が、僅か十指の爪痕では、刑が軽すぎると
分かっていながら、彼は、一縷の理性に、そう言わせた。
なじみのないベッドのスプリングを、ぎしりぎしりと鳴かせ続けて、
耽溺する彼を、恍惚と涙で暈やけた視界で捉え、
先生は、禁忌と引き換えの甘美に揺さぶられて喘ぎながら、
言われるがままに、彼の厚い背に縋り、
彼の名を呼んで泣き乱れることしかできなかった。
<指に関する5つのお題 全6話> 全話一気読みへのショートカットは → こちら